認定こども園と保育士さんの仕事量
こんにちは、カユウです。
アジェンダ
- 『こども園』と『保育園』は違う
- 『認定』と『認可』も違う
- 想像しているより保育士は事務作業が多い
さて、兵庫県姫路市の認定こども園の認定が取り消される方向で検討されていることは、連日のニュースでご存知の方も多いでしょう。
ニュースサイトを見ていて気になるのは、『こども園』と『保育園』という表記が書かれていること。
また、サイトによっては『認定』と『認可』と表記が変わってしまっているところもありました。
『こども園』と『保育園』は違う
そもそもこども園とはなんでしょう?
その疑問には、内閣府のホームページで説明されています。
認定こども園概要 - 子ども・子育て支援新制度 - 内閣府
教育・保育を一体的に行う施設で、いわば幼稚園と保育所の両方の良さを併せ持っている施設です。以下の機能を備え、認定基準を満たす施設は、都道府県等から認定を受けることが出来ます。
このように、こども園とは保育園と幼稚園がくっついたような施設のこと。
内閣府のホームページではこども園には4つの型があることも説明されていますが、それらをまとめて『こども園』と総称しているようです。
では、保育園と幼稚園の違いとは?
保育園と幼稚園、その違い
僕個人の主観が多々入っていますが、保育園は子供が「生活する場所」であり、幼稚園は子供が「教育を受ける場所」であると考えています。
保育園、幼稚園、それぞれの定義について書かれている専門性の高いホームページより、引用します。
保育園については、「「保育園」について知ってください」というホームページが分かりやすいと思います。
「保育園」を知って下さい
親(保護者)からの申し込みにより、親が働いている、病気の状態にある等の理由により家庭において十分に子どもを保育できない場合に、家庭に替わって子ども(0~5歳の乳児および幼児)を保育(養護と教育が一体となった保育)するため、児童福祉法に位置付けられた「児童福祉施設」です。
幼稚園については、こちらのページを参考にしました。
幼稚園とは? - 日本の学校
小学校や中学校、高校、大学などと同じように、学校教育法に定められた「学校」です。「幼児を保育し、適当な環境を与えて、その心身の発達を助長することを目的(学校教育法第22条)」としています。
先生にも違い
生活する場と教育を受ける場と役割が違うため、そこで働ける先生の免許にも違いがあります。
保育士、幼稚園教諭 (一種・二種) のどちらも国家資格ですが、管轄する役所が違います。
保育士は厚生労働省。
幼稚園教諭は文部科学省。
そもそも、保育士が国家資格だということを知らない人のほうが多いのではなかろうか。
専門学校や短大を出て、保育士になりました、と言われた時、イメージとして国家資格を持っているとは思わない人のほうが多いだろう。
他にも様々な違いがありますが、「保育士になった男性が教えるやさしい保育士入門」に、分かりやすく保育園と幼稚園の違いについて書かれています。
保育園と幼稚園の違いは? | 保育士になった男性が教えるやさしい保育士入門
『認定』と『認可』も違う
こども園は『認定』です。
保育園、幼稚園は『認可』です。
東京都限定で、『認証』保育園というものもあります。
『認可』、『認証』は国や自治体の設置基準を満たしているか
とうきょう福祉ナビゲーションというホームページでは、認可保育園と認証保育園の設置基準が記載されています。
とうきょう福祉ナビゲーション
特に都市部では、基準面積の条件をクリアする場所が限られているのではないでしょうか。
0歳児・1歳児の一人当たりの基準面積が3.3㎡必要です。
定員を60名としても、60 × 3.3 = 198 ㎡ となります。
大き目の一軒家が立つ程度の土地が必要になります。
他にも立地条件や保育士・幼稚園教諭の人数も条件に含まれます。
『認定』 ≠ 『認可』
認定こども園は、都道府県が認定すればなれます。
基準をクリアしていなくても、認定の条件を満たしていれば、認定されます。
だから『認定』されているからといって、『認可』されているとは限りません。
今回ニュースになっているこども園は『認定』の取り消しを検討されている状態であり、『認可』については取り上げられていません。
施設規模や職員の配置状況は分かりませんが、保育園として『認可』は取り消されないのではないでしょうか。
想像しているより保育士は事務作業が多い
今回のニュースとは関係ないですが、保育士は預かった子供の面倒を見ているだけではありません。
想像しているよりもはるかに事務作業が多いのです。
僕が知人の保育士に聞いたものをざっと挙げると、個人記録、保育日誌、子供の連絡帳、日案、週案、月案、年間計画、日誌をまとめた週の報告書、月の報告書などなど。
子供たち同士での喧嘩や物品の破損があれば、それぞれの報告書も書いているそうです。
保育園は子供が生活する場ですが、ただそこにいるだけではありません。
保育園の理念から目標を設定し、その目標が達成されるように保育士さんたちが年間計画を立てています。
その年間計画をもとに、その月はどうするのかという月案、その週で何をするのかという週案、その日に実施することは何かという日案に分解していきます。
この辺はGTDなどの夢や目標からその日の行動を書き起こす、というところに近いかもしれません。
その日、子供がどう過ごしていたか、日案の達成状況を個人記録に残し、保護者に伝えるために子供の連絡帳に書く。
その上で、日の活動をまとめて週の報告書を作り、その週の報告書をまとめて月の報告書を作る。
よく手帳界隈で言われている日々の積み重ねが週になり、月になる、というわけにはいかないそうな。
日の活動をサマリーして、見やすく書くため、ただまとめただけでは週の報告書にならないとのこと。
他にも遠足や運動会などの行事の企画、立案、準備も行っているとなると、子供の面倒を見ながらできる仕事量とは思えません。
実際、子供たちが帰った後に事務作業をしたり、場合によっては家に持ってかえってやるそうです。
平成27年に厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、保育士の平均年収は35歳で、323万円とのこと。
- 平均年齢:35歳
- 勤続年数:7.6年
- 労働時間:171時間/月
- 超過労働:4時間/月
- 月額給与:219,200円
- 年間賞与:603,000円
- 平均年収:3,233,400円
子供が好きで保育士になったとしても、給料が安いと人はそこに留まれないと思います。
人として生活していくためにはお金が重要な要素になります。
未来を担う子供たちに関わる仕事なのですから、それ相応の給料になってもいいのではないでしょうか。
行政からの支援金がなく、保育士の給料が一般企業並みになったとき、どの程度保育料に跳ね返るのか、誰か試算してくれないかな。
ではでは、今回はここまで。