現実世界とネットの世界とは地続き
ドラマ「3年A組 ―今から皆さんは、人質です―」が最終回を迎えましたね。
最終回でマインドボイスに向かって叫ぶ演技。
僕の周りでは賛否両論。
とはいえ、会ったこともなければ、顔も見たことない相手に「ウザい、キモい、死ね」と言えてしまうのは、確かに恥ずかしいことだよな、と。
最終話しか見ていませんが、いろいろな方がまとめられているあらすじを読む限り、「3年A組」は最初から現実世界とネットの世界の関係性が描かれているようです。
すでに亡くなってしまっている景山澪奈にドーピング疑惑がかかったのは、インターネット上で拡散された動画がきっかけでした。
マインドボイスというSNSも、この舞台を盛り上げるのに一役も二役も買っています。
「3年A組」の感想は他の方にお任せするとして、僕は現実世界とネットの世界について考えてみます。
この二つの世界、切り離して考えていませんか?
現実世界の人間関係は、自分自身がネットの世界に持ち込まなければ関係ない。
ネットの世界は顔も名前も、性別や人種すらも偽っても問題ない。
そう考えている人が多いように見えるのが、ITを仕事としている僕からすると残念なことです。
現実世界とネットの世界。
使っているのが僕自身であるからこそ、二つの世界を切り離すことはできません。
ネットの世界の匿名性なんて、砂上の楼閣以上に儚いものなのですから。
ちょっとしたことで、このアカウントは誰それさんだ、ということがわかってしまいます。
あなたの行動だけではなく、周りの人の行動によって、あなたが気づかぬ間に広まっていることもありますからね。
現実世界とネットの世界の関係性という話では、Twitter や Instagram に投稿されたバイト中の悪ふざけが拡散され、閉店に追い込まれる店舗や、企業からの損害賠償請求を受ける学生のニュースもありますね。
悪ふざけをしてしまったとしても、Twitter や Instagram といった SNS に投稿しなければ、ここまでの騒動になることはなかったでしょう。
バイトテロを起こした彼らは、バイトテロをやりたくて SNS に投稿したのか。
僕は違うと思います。
SNS はそのサービスの特性上、自分のタイムラインにはフォローした人の情報だけが並ぶようになっています。
仲間内での連絡にしか使っていなければ、見ず知らずの方がフォローしてくることもないでしょう。
すると、世界中に公開されている場所が、仲間しかいない場所に見えてくるのかもしれません。
バイトテロを起こした彼らには、SNS はフォローしている仲間とやり取りするためのツールでしかなかったのでしょう。
もしくは、アカウントに鍵をかけてある、ストーリーズのように24時間経てば自動で消えるサービスを使っている、という考えから、仲間内にだけ見せるために悪ふざけを投稿したのかもしれません。
SNS やインターネットの世界。
いろんな楽しいことがある世界だと思います。
その分、怖いこともいっぱいある世界です。
今、あなたが投稿しようとしているコメント。
あなたの顔と実名を出しても投稿できる内容ですか?
「ぐっと踏みとどまって、くるっと頭を回転させると、ぱっと答えが出る」ようなものではないかもしれません。
投稿するボタンを押す前に、もう一度読み返してみてください。
それが、柊一颯が望む優しい世界に近づくための第一歩だと思いますよ。