夜ふかしログ

30代サラリーマンが育児・家事・在宅勤務が終わったあと、夜更かしをして読んだ本を紹介したりしなかったりするブログ

電撃トラベラーズ / オカザキトシノリ (著), 瀬川 はじめ (原作)

ピッコマで数話が無償公開されていたのを読み、面白いSFマンガだと思いました。
近未来をイメージしがちなSFというジャンルで、現代をベースにしていることもあり、とても読みやすかったです。

ボーイミーツガールから始まるバトルストーリー

主人公、國守 切春 (くにもり きりはる) は帯電体質。
帯電体質とは、体内に電気をため込んでしまう体質のことで、家電を壊したり、駅の自動改札が動かなくなったり、という弊害があります。
電気エネルギーを使って便利な生活をしている現代で、スマホやパソコンには触れない、家電が使えない、というのは致命的じゃないかと。
電気をため込んでるってことは、人と触れ合うのも危険ですよね。
たぶん、不用意に触れると静電気のバチッていうのが強く出るんじゃないかな。
帯電体質じゃない人と切春が触れ合っている場面がないので、作中どうなるかはわからないですが。

そんな帯電体質の切春のクラスに、転校生が来たところから物語が動き始めます。
転校生の名前は、薙原桐緒。
不可解なトランクを持ち、自己紹介していないのに切春のことを知っている、この不思議な少女が本作のヒロインです。

ヒロインによって不可解なトランクを持たされ、バトルを強制される切春。
ここが切春の最初の覚醒ポイントだと思います。
見開きのシーンがかっこいいんですよ。
Kindle だと見開きページはちょっと見づらいんですが。。。

冒頭で、四国一帯でネットワーク障害というニュースが流れているシーンがあります。
ネットワーク障害という単語だけで、なんとなく.hack//っぽい感じを連想してしまったんですが、そんなに外れていませんでした。
実は、四国は AI に占拠されており、期間内に四国4県に建てられた塔を倒せなければ、日本全国のネットワークを占拠するという脅迫をされていたのです。
AI に占拠された四国では、通常の機器を使うことができず、唯一対抗できるのが切春のような帯電体質の人と、その人が持つトランクが変形する武器のみ。
そんな状況で、桐緒のパートナーに選ばれたのが切春なのでした。
流されるままに、切春は四国の地へと降り立ち、AI とのバトルを開始するのです。

まるでハリウッド映画を観ているような感覚

3巻で完結しているということもあるのかもしれませんが、三幕構成と呼ばれるハリウッド映画のシナリオ手法に近い展開です。
バトル一辺倒というわけでなく、バトルと日常がいい感じに絡み合っていることもあって、なんとなくアクションもののハリウッド映画を観ているような感覚になりました。

ただ、物語の初めに提起された問題のうち、物語の中で解決が描かれていないものがあります。
物語の終わりは、主人公とヒロインがどうなったのか、までしか描かれていません。
主人公とその家族の関係性は変わったのか。
学校での立場に変わりはあったのか。
描かれていないそれらは、読者の想像に任されているとも言えますが、あえて終わりを提示していないとも言えます。
そんな終わり方だったのも、映画っぽいと思った理由ですね。

おわりに

それぞれの個性がわかるキャラクターデザインになっていて、3巻で完結しているのがもったいないと思うくらい素敵なんですよ。
3巻で完結しているのがもったいないくらい魅力的なキャラクターばかりなので、続編出してくれないかな、と思っています。
1~3巻で物語としてはきちんと完結していますので、ちゃんと終わる物語を読みたい方にオススメです。