夜ふかしログ

30代サラリーマンが育児・家事・在宅勤務が終わったあと、夜更かしをして読んだ本を紹介したりしなかったりするブログ

正社員だけが道じゃない。ゲリラ戦のススメ『僕は君たちに武器を配りたい』 / 瀧本 哲史 (著)

勉強をがんばって、いい学校に入り、いい会社に入れば安泰だ。
あなたは本当にそう思いますか?

2022 年現在 35 歳になった僕も、高校生のときに自分の親から言われた記憶があります。
いい学校に入って、いい会社に入れば将来安泰だ。だから勉強をがんばりなさい。
友達も言われたことがあると言っていたので、30代中盤の方であれば一度は言われたことがあるかもしれませんね。
そのとき将来と言われていたのが今ですが、勉強をがんばったから安泰だと言える人はどれくらいいるのでしょうか。
30代以下は、ただ勉強をがんばっているだけでは安泰といえる将来をつかめる人は、ほんとうに限られた優秀な人しかいなくなりますよ。

僕みたいな大多数はどうしたらいいんだ。
そう思った方にぜひ読んでほしい本があります。

『僕は君たちに武器を配りたい』は、リーマンショックの影響が色濃く残る中、3.11 東日本大震災があった 2011 年に発行された本です。
当時は企業からの正社員の求人数が減り、いたしかたなく非正規雇用を選んだ方も多いと聞きます。
そんな情勢の中で発行された本書は、正社員にこだわらない考え方を知ることができる1冊です。
リーマンショックの影響を受けた方、仕事への取り組み方や考え方に悩んでいる方に読んでいただきたい本です。

また、コロナ禍で2021年の正社員求人数は減っているというニュースをみました。
今まさに就職しようとしている学生さんにも、ぜひ読んでいただきたい本になっています。

著者の瀧本 哲史さんは、日本で若手起業家に投資するエンジェル投資家として活動しながら、京都大学産官学連携センターで客員准教授をされていました。
社会に出る学生に向けて執筆された著書が多数あります。
多くの本からは、昔ながらの仕事のやり方ではうまくいかない、次代を担う若者が自分の力で未来を切り開いていってほしい、という思いが感じられます。
瀧本さんは、惜しくも 2019 年に病気のため逝去。
ですが、残された多くの著書は、瀧本さんの言葉として雄弁に語りかけてきます。

オススメ理由3点

瀧本さんの著書の中でも『僕は君たちに武器を配りたい』をオススメする理由を3つ、ご紹介します。

  • 勉強して資格をとっても特別にはなれない
  • コンピュータとの差別化を考える
  • スペシャリティ化のススメ

勉強して資格をとっても特別にはなれない

いい就職先に入りたい。
今よりも給料を増やしたい。
そう思ったとき、まっさきに考えるのが資格取得ですよね。
仕事につながりそうな資格として、簿記や ITパスポート、 TOEIC をおすすめしているサイトが多いです。

多くの人がおすすめしているということは、多くの人がもっている資格とも言えます。
それでは、他の人と比べても特別とは言えないですよね。
それに資格のあるなしは、数値で表現できますよね。
数値で表現できることって、商品のスペック表に書けることと一緒なんですよね。
そうすると、企業としては、ある資格を持っている人を募集して、その中から一番安い人を採用すればいいわけです。
がんばって資格をとったのに、最後の判断は金額になってしまうんですよ。
まるで単なる商品になったような気がしませんか?

差別化しようといって、あまり人がとっていない資格をとったとしても、有効利用できるかどうかはわかりませんよね。
だから資格をとっただけでは、特別になれないのです。

どうしたら特別になれるのか。
その方法は、ぜひ本書を読んでください。

コンピュータとの差別化を考える

これまでは仕事をするのは人でした。
だから、仕事をする人としてのライバルは、同じ人しかいなかったわけです。

しかし、今では人工知能の技術が発達し、機械学習などによってコンピュータが自律的に働くことができるようになりました。
そうすると、仕事をする人としてのライバルは、コンピュータになってきます。

コンピュータの得意なことはなんでしょうか。
何度も繰り返し行う計算に強いこと、電気代だけで24時間働けること、常に合理的な判断をすることができることなどが挙げられますよね。
気づきませんか? コンピュータが得意なことの多くは、ホワイトカラーとよばれる管理業務や総合業務を担っている人が行っている仕事なのです。

勉強ができる人は、事務処理能力の高い人と見ることができます。
高学歴の大学に通う学生の多くがホワイトカラーとして大企業で働くことが多いのは、事務処理能力を買われて採用されているのです。
ただ事務処理能力が高いだけでは、今後コンピュータに仕事を奪われてしまいますよ。

どうやってコンピュータと差別化するのか。
人でなければできないことはなんなのか。
学生だけでなく、すでに働いている人も今後のキャリアを考えるきっかけになりますよ。

ゲリラ戦のススメ

働くことと、正社員になることは違いますよ。
正社員じゃなくても働けますし、正社員じゃないからこそできる仕事もあります。

投資家であった瀧本さん独自の見方として、トレーダーやマーケターなど投資の役割になぞられた働き方のタイプが紹介されています。
そして、タイプごとに生き抜く方法が書かれているのです。

自分独自のストーリーやビジュアルを持ち、それを社会とどうやってすり合わせていくか。
投資家として活動されていた瀧本さんらしいアドバイスだと思いました。

まとめ

これから就職活動を始める人や、就職する人だけでなく、すでに働いていてこのままでいいのかを悩んでいる人にも読んでほしい1冊です。