夜ふかしログ

30代サラリーマンが育児・家事・在宅勤務が終わったあと、夜更かしをして読んだ本を紹介したりしなかったりするブログ

小説 妖怪大戦争 ガーディアンズ / 荒俣 宏  (著)

あれ、妖怪の話だよね?
間違って現代SFの本を買っちゃった?
そう思ってしまうほど、冒頭から情報量の多い小説になっております。

2021年8月13日に全国公開される映画「妖怪大戦争 ガーディアンズ」の小説版を読みました。
著者は、荒俣宏さん。
テレビのバラエティ番組などにも出演されているので、見たことがある方もいらっしゃると思います。
なんで荒俣宏さんが書いているんだろうって思ったのですが、Wikipedia を見て納得しました。
Wikipedia に書かれている肩書から「妖怪大戦争 ガーディアンズ」に関係ありそうなものを抜粋すると、博物学者、図像学研究家、小説家、神秘学者、妖怪評論家、武蔵野美術大学造形学部客員教授日本SF作家クラブ会員、世界妖怪協会会員。
しかも、映画「妖怪大戦争ガーディアンズ」の製作総指揮もやっていると。
著者になるべくしてなった方ですね。

フォッサマグナと呼ばれている富士山を含む火山帯に眠る化石たちが飛びだしてきて、1つに結集します。
1つに結集した化石は、地面を転がりながら東京に向かって移動していきます。
人間は、転がって移動する化石を見ることができません。
見えない化石のせいで山や家が崩れていきます。
突然家が崩れる天災としか思えない事象をただ恐れるだけの人間をよそに、転がっていく化石を見ることができる妖怪たちは慌てふためきます。
なぜなら、化石が転がっていく先は東京。
東京が壊滅してしまうのは、妖怪たちにも困りもの。
化石が東京に行かない方法を考えた妖怪たちは、渡辺綱の子孫を探します。

妖怪たちが探し出した渡辺綱の子孫、渡辺兄 (以降、ケイと表記) がこの物語の主人公。
ケイは所沢の小学校に通う男の子です。
ケイにはダイという弟が一人います。
ダイがすごい肝が据わってるんですよ。
ケイとダイ、それぞれの面から物語が進んでいきます。
ダイのルートは、妖怪たちが計画した解決までのルート。
ケイのルートは、ダイを救うためのルート。
物語が進むにつれ、2つのルートがまじりあって、結末まで一気に進んでいきます。

最後まで情報量の多い物語でした。
物語を進めていく上で必要な情報量が多いせいか、作中に登場する妖怪の紹介はほぼありません。
なので、登場する妖怪の名前を知らなければ、調べることをおすすめします。
映画版の公式サイトに、妖怪の紹介がありますので、映画の公式サイトを見るのもいいかもしれませんね。

そして、最初から最後まで、妖怪の小説なんだろうかと心配が消えません。
映画の CM で流れているので話してしまいますが、妖怪大戦争なのに大魔神が登場するんですよ。
大魔神とは、1966年に大映が製作した特撮時代劇に登場する守護神のことなのです。
妖怪というくくりにはいない守護神が登場します。

妖怪のお話というと、おどろおどろしいお話を想像している方がいるかもしれません。
ですが、お祭り騒ぎの楽しい物語となっておりますので、安心してご覧ください。