夜ふかしログ

30代サラリーマンが育児・家事・在宅勤務が終わったあと、夜更かしをして読んだ本を紹介したりしなかったりするブログ

人はなぜ不倫をするのか?『「不倫」という病』 / 片田 珠美 (著)

不倫は悪ではありません。

不倫が報じられた芸能人や有名人は悪。悪い行いを批判するこちらは正義なので、何をしても許される。そう思っていませんか?芸能人の不倫が報じられたら表舞台から降板するまで、議員だったら辞職するまで苛烈に責め立てる社会って、多くの人が生きにくいと思うんですよ。

本記事で紹介する『「不倫」という病』は、精神科医という立場から独自の視点で不倫について書かれています。そのため、不倫=悪と叩くのではなく、なぜ不倫をするのかを深く考えることができる一冊です。

○本書をオススメしたい方

  • 不倫されたことに気づき、再構築か離婚かを悩んでいる方
  • 不倫したが再構築することになったけど、なかなか改善することができていない方
  • 不倫しようと思っている方

「不倫」という病

著者の片田珠美さんについて

『「不倫」という病』の著者、片田珠美さんは精神科医です。フランスに留学されて精神分析を学ばれたとのことで、精神科医として務めるかたわら、さまざまな媒体で記事を投稿されています。

小室さんや山上容疑者を精神分析された記事やニュースを見て、顔や名前を知っているという方もいらっしゃるのではないでしょうか。『「不倫」という病』に書かれている患者さんの話からの分析は、個人的に納得や理解できる内容になっていました。そのため、テレビや Web メディアはしばしば偏った内容を好むことがあり、片田珠美さんはその要望通りの内容で発信した可能性もあるんじゃないかと思っています。

『「不倫」という病』を読んだ感想

どうして不倫をするのか?

不倫した人された人が抱える問題や、不倫によって引き起こされる悲劇について、患者さんの声を元に深く考察されている点が特徴的です。さまざまな理由を見ていくと、不倫をする理由というのが見えてきました。

それは、「夫婦生活や家庭で満たされていない思い(不満)があり、その不満を夫婦間や家族間では解消することができないと考えたとき」に不倫をするということです。

夫婦生活や家庭に不満がある、という人がいると思います。その不満の解消を夫婦や家庭の外に求めたとき、不倫という選択肢が出てしまうのです。不倫は苦しい生活のガス抜きという考え方もあると示されているのが、『「不倫」という病』の独特な点ですね。

『「不倫」という病』で紹介されている不倫した理由のうち、僕が特に気になった3つを抜粋してご紹介します。

  • 性欲や性的な欲求不満を満たすため
  • 夫婦生活や家庭がつらいけど改善できないため
  • 今までされてきた仕打ちに対する配偶者への復讐

有名人や芸能人の不倫のニュースが出ると、性欲や性的な欲求不満が理由にあげられることが多いですよね。しかし、本当の理由を記者会見などで話しているとは限りません。もしかしたら、配偶者からの束縛が強すぎるあまり不倫に逃げていたり、今までされてきた仕打ちに対する復讐のために不倫をしたり、しているかもしれません。ただ、そういう理由だとしたら、表に出てくることはないんです。

不倫をして得られるものはあるのか?

配偶者を裏切り、不倫をしているという方が得られるものはあるのでしょうか。もちろん、得られるものがあるから不倫をしているんです。僕は、大きく3つに分類できるんじゃないかと思いました。

得られるものその1:快感

性的な快感だけでなく、不倫関係になることで狩りをしているかの快感を得られたり、悲劇のヒロインのような恍惚感を感じたりすることもあるようです。配偶者を裏切っているという禁を犯しているということも、快感につながっているんですね。

得られるものその2:自分の人生を取り戻した気になる

亭主関白の配偶者からまるで奴隷のような扱いをされ、自分の人生はなんなんだろうと悩んでいる方などが当てはまるようです。どんなに努力しても、配偶者に理解されない。そんなとき、自分の話を聞いて親身になってくれる方がいると、不倫をしてしまう方がいらっしゃいます。また、配偶者が不倫をしているけど、離婚という選択肢を取れない方が悩んだ末に不倫した場合も、これに当てはまりますね。

得られるものその3:配偶者への復讐

心身の病気などをして今まで通りに動けなくなったとき配偶者に冷たくされたり、不倫を疑いすぎる配偶者から毎日500円のお小遣いや細かい行動制限といった強すぎる束縛をされたりする方がいらっしゃいます。そういう方の中には、不倫をすることで配偶者への復讐願望を満たすことができるようです。

不倫=悪とは言い切れない

得られるもののうち、2つ目の自分の人生を取り戻した気になる、3つ目の配偶者への復讐を見ると、一概に不倫した側だけが悪い、とは言えないのではないでしょうか。

付き合っていたときはいろいろやってくれたのに、結婚した途端に手のひらを返して、釣った魚に餌をやらないを実践してしまう人がいます。それだけでなく、人格否定や日々の生活での制限をされた場合、自分の心身を守るために不倫しているのかもしれません。

ないがしろにされたり、強すぎる束縛をされたりすることで、配偶者との関係を継続するほうが辛くなってしまいますよね。でも、収入がほとんどないなど、さまざまな理由で離婚を選べない方がいます。そういう方にとっては、夫婦生活では我慢をし、不倫関係でガス抜きをしたり自尊心を保ったりしているのかもしれません。

『「不倫」という病』の活かし方

オススメしたい方ごとに、活かし方が変わってきます。

不倫されたことに気づき、再構築か離婚かを悩んでいる方

『「不倫」という病』では、再構築をするときのアドバイスや進め方の例が書かれています。どんなに予兆があったとしても、実際に不倫されたとなればショックを受けて当然なんですよ。ショックのあまり、再構築か離婚かを選べなくなってしまうこともあります。なので、再構築か離婚かを選ぶためにも、再構築の難しさを知っておいたほうが良いと思います。

許したからおしまい、とはいかないのが人の心理ですからね。

不倫したが再構築することになったけど、なかなか改善することができていない方

された側のおかけで、再構築することになりました。すぐに不倫がわかる前の態度に戻れっていうのが無茶なんです。不倫をした側は誠心誠意を見せるしかありません。ですが、いついつまでも責められてしまいます。そうならないために、された側が被害者意識から被害者・加害者を乗り越えた関係と思ってもらう必要があります。

不倫しようと思っている方

不倫をすることで起こる悲劇が書かれています。配偶者を裏切ることについて、悲劇の内容とともに見比べてみてください。それでも不倫をしたいという方は、それなりの覚悟をしてくださいね。

まとめ

『「不倫」という病』は、不倫という問題について、深く考察し、再構築のためのアドバイスを提示している一冊です。不倫について考えるきっかけや不倫に走ることを考えている人々にとって、非常に参考になる書籍であると言えます。

「不倫」という病