夜ふかしログ

30代サラリーマンが育児・家事・在宅勤務が終わったあと、夜更かしをして読んだ本を紹介したりしなかったりするブログ

商社マンの異世界サバイバル ~絶対人とはつるまねぇ~ (著者:餡乃雲)

宝くじに当選したら、会社を辞めたい。
そう思っている人は少なくないはず。
とはいえ、宝くじを買っても当たらないんですよね。
でも、この物語の主人公、奥田圭吾は当てちゃいます。
そして、会社を辞め、北海道の離農した農家を買い取るのです。
都会を離れ、地方で一人、悠々自適な生活をしてみたいと思っている僕からすれば、とってもうらやましい状況なのですが、うらやましのはここまで。
タイトルの通り、異世界に転移してしまってからは、てんやわんやのサバイバル生活が始まります。

誰も自分のことを知らない場所に行きたい。
こんなことを考えたことがある社会人は多いと思います。
僕は思いました。
とはいえ、チキンなので生活のこととか考えちゃって実行することはできないんですけど。
でもリモートワークがメインになってきたので、車で移動しながら仕事するっていうのはやってみたいですね。

異世界で言葉が通じると思うな

異世界転移といっても、大きく2つの方法に分かれますよね。
1つは、神様などの力あるものが転移させる。
もう1つは、なぜか異世界に転移してしまう。
この物語は、後者のなぜか異世界に転移してしまってから始まります。
鶏小屋とともに異世界に転移します。
当面の間、一緒に転移した鶏小屋を拠点にしているのですが、そんなこと可能なのかなって思っちゃいました。
僕のイメージする鶏小屋って、2辺と屋根はふさがれていますが、残りの2辺は金網など通気性がとてもよい素材で鶏が逃げないようにする箱なんですよね。
寝転がるスペースはあると思いますが、鶏に突かれたりしないんだろうかって心配になりました。

で、異世界に転移した奥田圭吾、文中に合わせてケイゴと書きますが、ケイゴが転移したのは街から徒歩3時間ほど離れたところ。
冒険者と戦うゴブリンを見て、ビビりまくります。
殺傷性の高い武器を持って、明らかに殺る気まんま んな生物を見たらビビりますよ。
今まで読んできた異世界転移、異世界転生する物語と比較すると、こっちのほうが現実っぽい気がしてきます。 作者は、実は異世界転移して帰ってきたんじゃないかって思うくらい納得感がありますね。

そして、落ち着いたところで街へと向かうのですが、言葉が通じません。
言葉が通じない系の物語はいくつか読んだ気がするんですが、たぶん圧倒的に言葉が通じる物語が多いと思います。
言葉が通じないとコミュニケーション取れないですからね。
ヒロインが助けてって叫んでも、意味がわからなければただの騒音です。
元商社マンという経歴があるからこそ、言葉が通じない設定になったのかな。
そう考えなかったとしても、世界が違うんだから言葉がわからなくなるっていうのは当然のことですかね。

一度、人間関係のリセットをしてみたい

ケイゴには、ときどき人間関係をリセットしたくなってしまう癖があります。
急にスマホを解約してみたり、北海道の農家を買い取ったり。
人間関係をリセットしたい衝動があるというのがわかりやすく描かれています。

物語が進んでいくと、それまで関わってくれた人たちを友人と呼ぶようになっていきます。
醜態をさらしても大丈夫と思える相手を親友と言うのには、僕も賛成です。
あいにく今はほとんど関わっていませんが、二日酔いでぐったりしている場面を見られてもいい人にはいろいろ話してましたね。
ケイゴの様子を見ていて、人にはそういう親友と呼べるような人が必要なんじゃないかな。
それはどんなに生活が充実していたとしても、その親友とお酒を呑む時間を大事にしているケイゴがかっこいいですね。

実際にはできないですが、一度でいいので人間関係のリセットをやってみたいと思いました。

まとめ

人嫌いと言いつつ、生きるためには人とコミュニケーションしないといけません。
その中で出会った人が根気よく対応しているところがいいな〜と思っています。

主人公と歳が近いのもあって、すごく感情移入をしながら読むことができました。
ケイゴの反応が、現代日本人特有の反応っぽいのです。
もし自分が異世界に転移したら。
ケイゴと同じ行動をするのか、他のことを優先するので後回しででやるのかは考えておいたほうがいいかもしれません。

何があるかわからない世の中ですが、美味しいものを食べて、寝れるときに寝る。
その大事さを教えてもらったような気がします。