夜ふかしログ

30代サラリーマンが育児・家事・在宅勤務が終わったあと、夜更かしをして読んだ本を紹介したりしなかったりするブログ

激強パワー系人たらしおじいちゃんの冒険譚『辺境の老騎士』 / 支援BIS (著), 笹井 一個 (イラスト)

旅と聞くとどんなイメージがありますか?

個人的な感覚ですが、目的地はあれど期間を決めず、ゆるやかに移動していくことを旅って言うのかなって思っています。
期間や宿泊地を決めて行くことを旅行と思っていまして。
そういう分け方をしたとき、僕は旅行には行ったことがありますが、旅に行ったことはないんですよ。
旅に出たいっていうあこがれはあるんですけどね。

そんな旅に出たい気持ちが刺激される本を紹介します。

『辺境の老騎士』は、辺境の貴族に支えていた騎士バルト・ローエンが、諸事情により主家を離れて旅に出るお話です。
バルト・ローエンの視点を介してみる主家と騎士の関係性は、会社とサラリーマンの関係性というよりも、推しとファンの関係性に近いような気がしました。
騎士であるバルト・ローエンはファン側の立場ですが、自ら主家のもとを離れ、旅を始めます。
この物語は、バルト・ローエンの旅の足跡なのです。

『辺境の老騎士』の著者は、支援BISさん。
小説家になろう」というサイトにて、さまざまな作品を投稿されている作家さんです。
今も頻繁に作品を投稿されていて、つい先日『狼は眠らない』という作品が完結されたとのこと。
他にも『迷宮の王』という作品がコミカライズされ、ニコニコ漫画「水曜日のシリウス」に掲載されているそうです。

オススメ理由

ただ老騎士が旅をするだけのお話ではなりません。
旅を通して様々な人と出会い、その刺激を受けた老騎士バルト・ローエンの内面や後悔にふれていきます。

ストーリーが面白く、次へ次へと読みたくなってしまう『辺境の老騎士』です。
ぜひ読んでください。 ・


と言われても困ると思いますので、ストーリー以外で僕のオススメ理由を3つ、ご紹介します。

1. 剣技を駆使した戦闘シーンがかっこいい

老騎士バルト・ローエンのみならず、登場人物たちが剣技を駆使した戦闘シーンは惹きこまれます。

積み重ねた努力のうえに重ねた年月によるバルト・ローエンの妙技。
戦闘シーンでは、登場人物たちがそれぞれ積み重ねてきたものが見え隠れするんですよね。
それは、実力者であるバルト・ローエンが対峙したからわかること、とも言えます。

挿絵はいっさいありませんが、どのような剣の軌道が描かれたのか、お互いにどう動いたのかが目に浮かぶほどの情報量があります。
紡がれた文字から浮かぶ情景。
いずれの戦闘シーンもかっこよく、老騎士バルト・ローエンや他のキャラクターの剣技に惹きこまれてしまいます。

2. ご飯がとても美味しそうで飯テロ

旅の醍醐味と言えば、食事!

『辺境の老騎士』でも、バルト・ローエンも行く先々で美味しい食べ物を食べています。
近くに美味しい食べ物があると聞けば、目的地までのルートから外れてしまうこともしばしば。

バルト・ローエンが舌鼓を打ち、克明な食レポをしてくれるたび、お腹が空いてきます。
時間によっては、読む飯テロといっても過言ではないでしょう。

3. キャラクターが魅力的

個人的に『辺境の老騎士』最大の魅力といってもいいと思っています。
それくらい出てくるキャラクターが魅力的なのです。

キャラクターたちは、この『辺境の老騎士』の舞台となった世界で生きているんですよ。
物語が描かれている部分だけに存在するわけではなく、生まれ、年をかさね、いろいろな経験をしてきた結果が、ここにいます。
過去の出来事に後悔し、自分より優れた人に嫉妬する。
そんなマイナスな感情表現もあります。
それは彼らが聖人君子ではなく、生きているからなんですよ。

著者である支援BISさんは、どれだけのキャラクターの人生を描いているのだろうか。
名前のあるキャラクターは50人近くいると思いますし、名前は出てこないけれども重要な役割を担っているキャラクターもいます。
支援BISさんが描いた人生があるからこそ、『辺境の老騎士』に出てくるキャラクターに深み、厚みが出て、魅力的に感じるんだと思いました。

おわりに

旅の楽しさ面白さ、人との出会いと別れのうれしさ悲しさ、自分の行動が他者に影響を与える怖さ喜び。
『辺境の老騎士』は、さまざまなことを教えてくれる物語です。

ただ努力するだけでは、意味がない。
正しい方向に向かって努力することが、夢をつかみ取るきっかけになる。
バルト・ローエンとその仲間たちは、そう教えてくれているのではないでしょうか。

かっこいい戦闘シーンが見たい方、美味しそうな食事風景を見たい方、魅力的なキャラクターに触れたい方。
そんな方々に『辺境の老騎士』はオススメです。

コミカライズもされていますので、絵で見たいという方はこちらがオススメですよ。

ぜひ読んでみてください。